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同業者によるBP支援事業を開始
新会社「アドガレージ」設立 伊倉鈑金塗装

「技術の灯火を消してはならない」と一人の若き経営者が立ち上がった。
東京・目黒区で自動車板金塗装業を営む伊倉鈑金塗装工業の伊倉大介社長(35)は
9月1日、ボディショップの経営支援事業を行う新会社「株式会社アドガレージ」を
設立した。いわば同業者による同業者のための支援ビジネス。「鈑金塗装業の経済地位、社会的地位を向上させなければ、業界自体がなくなる」(伊倉氏)との強い危機感がある。

伊倉氏がこのような支援事業に乗り出す契機となったのは、自らの経験がある。
創業社長である父親が亡くなり、2代目として社長に就任したのは今から15年前の
20歳の時。父が築いた看板を守りたい-心と「この“鈑金塗装”という高い技術を
絶やしてはならない」「社員を守りたい」という思いが経営者として歩むことを覚悟させた。
しかし、当時はバブルが崩壊しかつてのように安定的に入庫が続く状況ではなくなりつつあった。車保有台数の減少、コンパクトカーの軽・小型車の増加、飲酒取締りの強化など、自動車補修を取り巻く経営環境は厳しさを増していた。

そこで伊倉氏は、自社の存在を不特定多数に発信できるインターネットに可能性を見出し、「ウインドウズ95」出てまもない1997年に自社ホームページを開設。
以来、一般消費者からの依頼に対応した元請け型にシフト。更に周辺に品川区、港区と富裕層の多い目黒区の立地を生かし、輸入車をターゲットとした集客アプローチに磨きをかけていった。

この戦略は的中した。「輸入車オーナーは車に対する愛着度が高く、補修においても専門業者業者としての強み生かせる」と、安定した入庫量の確保と収益確保の両立につなげた。
また鈑金塗装事業だけでなく「保険修理」「無料サービス」「コーティング」「オールペン・レストア」「中古車・廃車・事故者の買取」と自動車に関わる付帯事業を取り込む形で
業容を拡大。派手さはないものの、顧客が求めるサービスを高めていくことで顧客満足度の向上に注力している。しかし、そんな同社にもベテランから若手への“技術継承”という問題が差し迫っている。

ボディショップにおいて、技術継承は、会社の存続を左右する大問題。長年の経験によって培ったベテラン職人の技術をいかにして若手スタッフに伝承していくか。更に高張力鋼板、アルミボディと自動車ボディ素材の変化により塗装の難易度は高くなっており、環境対応も含め過去の技術継承だけでは生き残るこてができない状況がある。
そこで現在、若手スタッフを増員し、「技術の棚卸し」と称する技術の洗い出しに注力する一方、堅調な入庫状態に反して保管スペースは目一杯の状態。成長につれて伴う経営課題が山積している状態にあり、問題対策だけでは乗り切ることができない転換期に差し掛かっていた。

そこで、同社は昨年第二創業ともいえる抜本的な組織改革に着手した。
俯瞰的視野に立った事業を行うべく「伊倉鈑金15ヶ年計画」を策定。
それに先んじる形で経営理念も掲げ、新たな成長に向けて走り出した。
 特に理念型経営は伊倉氏がもっとも重要と位置付けるもので、会社と社員のベクトルを共有できるかどうかが、組織力強化の分かれ目になるとの考えがある。
また従業員のモチベーションを引き出すため職務委譲における成長モデルも提示。
「世襲は私限りでいいと考えている」と社長の移譲も視野に入れた会社づくりを目指している。

強みを引き出す支援

今回の新会社は、異業種交流会で知り合った同世代の経営コンサルタント2人を加えて設立。資本金は300万円。社長には伊倉氏が就任し、自らの会社で培った集客ノウハウや経験を提供していく。
今回、伊倉氏が支援事業を始めるに至った背景としては、末端の鈑金塗装業者が自ら底上を図らない限り、鈑金塗装業自体が壊滅するという強い危機感がある。

アフターマーケットを取り巻く環境は、もはや鈑金塗装だけの領域だけではなくなりつつある。カーディーラーに始まり、カー用品店、ガソリンスタンドがサービス拡大から補修事業を取り込む働きを積極化。また自動車部品のモジュール化により、塗装して補修することすら永続的なものでなくなる可能性がある。

更に、このような流れが加速することで、鈑金塗装の世界に若い人を誘引できなくなることを最大の懸念として指摘する。「憧れを持てる世界でなければ、なり手はない」。
そのためには、まず経営者自信が将来展望を見据えた理念を掲げ、その具現化のための対策を打って出る必要があるとの考えがある。

伊倉氏は「支援事業といっても大それたものではなく、それぞれの会社が持つ技術力、人員構成、地域特性を鑑み、それらを効果的に活用するためのサポートをしていくことが主体となる。会議の持ち方、ベテラン社員に言いにくいことをどのように伝えるかなど日常起こりうる現場の細かなことにサポートできるのが、同業者による支援の強みだと思う」と説明する。     

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